地域の療育教室に通うお子さんをお持ちのお母さん、お父さんへ
毎日お子さんの成長を見守り、支えていらっしゃること、本当にお疲れさまです。
療育では、つい「早くできるようになってほしい」「今日こそできるかな」と、結果ばかりが気になってしまうことがありますよね。周りの子と比べてしまったり、なかなか進歩が見えないと感じて、不安になることもあるかもしれません。
でも、大丈夫です。お子さんはお子さんのペースで、確実に成長しています。
周りと比べすぎると、大切なものが見えなくなってしまいます
「あの子はもうできているのに、うちの子はまだ…」と思ってしまうこと、ありますよね。でも、比較ばかりしていると、お子さんの小さな成長や頑張りが見えにくくなってしまいます。そして何より、お母さん自身が疲れてしまい、お子さんに対してイライラしたり、焦った気持ちをぶつけてしまうことにもつながりかねません。
お子さんも、周りと比べられることで「自分はできない子なんだ」と感じ、自信を失ったり、新しいことに挑戦する意欲が薄れてしまうことがあります。子どもの発達には本当に個人差があり、早く育つ部分もあれば、ゆっくり育つ部分もあります。それは、その子の個性であり、ペースなのです。
「今すぐ」できなくても、実は大きな問題にはなりません
「今できないと、この先ずっとできないままになってしまうのでは…」と心配になる気持ち、とてもよくわかります。でも実は、多くの課題は「今すぐ」できなくても、お子さんの成長に大きな支障をきたすことはありません。
なぜなら、子どもの発達には「準備が整う時期」があるからです。体の発達、認知の発達、心の発達、それぞれのタイミングが揃ったときに、自然とできるようになることも多いのです。無理に詰め込もうとするより、お子さんが「できる準備」を整えるのを待つ方が、結果的にスムーズに習得できることもあります。
また、一つの課題ができなくても、別の方法で補ったり、違うルートで成長していくこともできます。人生は長く、学ぶ機会は何度でもあります。焦って無理をして、親子の関係がぎくしゃくしたり、お子さんが「できない自分」を責めてしまうことの方が、ずっと大きな問題になってしまいます。
椅子にきちんと座って食事ができるようになること、こぼさずにご飯を食べられるようになること、自分で着替えができるようになること。大人にとっては何気ないこれらの行動も、お子さんにとっては大きな大きな挑戦です。そして、その習得には数ヶ月、時には数年かかることも、決して珍しいことではありません。
今日できなかったことが、明日すぐにできるようになるわけではないかもしれません。でも、毎日の小さな積み重ねが、いつかお子さんの「できた!」につながっていきます。
焦らず、お子さんと一緒に楽しみながら進んでいくために
小さな変化に目を向けてみてください
椅子にいつもより少し長く座れた、スプーンで一口だけこぼさずに食べられた、ズボンのボタンを一つ自分で留めようとした。そんな小さな瞬間を見つけたら、ぜひ「すごいね」「できたね」と声をかけてあげてください。お子さんにとっても、お母さんにとっても、その瞬間が励みになります。
遊びや日常の中で自然に取り組んでみてください
「練習しなきゃ」と気負わなくても大丈夫。遊びの中で、生活の流れの中で、楽しみながら取り組むことで、お子さんも自然と意欲が湧いてきます。
「続けること」そのものが成長です
目に見える結果がすぐに出なくても、毎日お子さんが挑戦していること、お母さんやお父さんが寄り添い続けていること、それ自体が素晴らしい成長のプロセスです。
お子さんの成長は、階段を一段ずつ上るようなものではなく、らせん階段をゆっくりと登っていくようなものかもしれません。同じところをぐるぐる回っているように見えても、少しずつ高いところへ向かっています。
焦らなくて大丈夫。お子さんは、お母さんやお父さんが信じて待っていてくれることを、きっと感じています。
一緒に、一歩ずつ。お子さんのペースで、前に進んでいきましょう。