共感する力が、子どもの未来を支える 〜大人にできること〜
大人も子どもも人間関係において、他者に共感する、他者から共感されることがとても重要なことは言うまでもありません。そんな「共感」について、お話ししようと思います。
● 共感ってなんだろう?
共感とは、相手の気持ちに気づき、それを思いやることです。たとえば、友達が泣いていたときに「どうしたの?」と声をかけたり、「自分だったら悲しいな」と思ったりする気持ちです。
これは、ただ優しくなるためだけの力ではありません。人とつながって生きていくための、社会の中で生きる“土台”の力なのです。
● なぜ子どもにとって共感が大事なの?
子どもはこれから先、学校や職場など、たくさんの人と関わりながら生きていきます。その中で、相手の気持ちを考えられる子は、人間関係でつまずきにくく、自分も大事にされやすくなります。
たとえばこんな場面——
おもちゃを独り占めしていたAくんに対して、Bくんが怒って「もう遊ばない!」と泣いてしまいました。
このとき、「Bくんの気持ち、どんな気持ちだったかな?」とAくんが考えられるかどうか。
もし「いやだったよね、ごめんね」と言えたら、ケンカもすぐに修復できます。
こういうやりとりを何度も繰り返すことで、子どもは「人とやっていく力」を自然と育てていくのです。
● 大人にできることって?
子どもの共感の力は、生まれつきだけでなく、育てられる力です。そのためには、毎日の関わり方がとても大切になります。
▼ 1. 「気持ちに名前をつける」声かけをする
例:「嫌だったんだね」「びっくりしたんだね」「嬉しかったんだ!」
子どもは、自分の気持ちがよくわかりません。気持ちを言葉にしてもらうことで、「自分の心の中」を知る力が育ちます。これは、他の人の気持ちにも気づける力のもとになります。
▼ 2. 「誰かの立場になって考える」やりとりをする
例:「◯◯ちゃんは、どんな気持ちだったかな?」「もし自分だったらどう思う?」
怒ったりケンカをしたときがチャンスです。「ダメ!」だけではなく、気持ちのすれ違いに目を向ける言葉かけを意識しましょう。
▼ 3. お母さん、お父さん自身が「共感される体験」を見せる
例:「お母さん、今日ちょっと疲れてるんだ。〇〇が手伝ってくれて嬉しいな」「お母さん、それ重いでしょ。お父さんが持っていくね。」
大人が自分の気持ちを素直に伝える姿を見て、子どもは「人と気持ちをやりとりする方法」を学びます。
● 最後に
共感する力は、「優しさ」だけではありません。人と気持ちをつなげて、自分も大事にしていける力です。大人の何気ないひとことが、その力の種になります。
完璧じゃなくて大丈夫です。怒ってしまった日も、疲れてしまった日も、「また明日、ちゃんと気持ちを見よう」と思えたら、それが大きな力になります。
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