サイコドラマを学ぶ研究会のご案内
サイコドラマの理論や体験は、トラウマ治療を行うセラピストにとって非常に実践的な学びをもたらします。その理由は、サイコドラマが「言葉以前の体験」「関係性の中で生じる感情」「身体に刻まれた反応」を、安全な枠組みの中で扱うことを中心に据えている点にあります。
サイコドラマは、J.L.モレノによって創始されたアクションメソッドであり、個人の内的体験を「場」に立ち上げ、他者との関係性の中で再構成していきます。トラウマ治療においても、記憶は単なる出来事の想起ではなく、身体感覚・情動・対人期待が統合された形で存在します。サイコドラマのロールプレイや役割交換(ロールリバーサル)は、まさにこの体験記憶の層に直接アクセスする方法です。
また、サイコドラマでは「補助自我」「ダブル」「ミラーリング」といった技法を通して、クライエント一人では抱えきれない体験を関係の中で保持(コンテイン)することを重視します。これは、トラウマ治療で重要とされる安全感の確保、情動調整、共同注意の形成と深く共鳴します。セラピスト自身がサイコドラマを体験的に学ぶことで、クライエントの覚醒レベルや解離反応を頭で理解するだけでなく、身体感覚として察知する力が養われます。
さらに重要なのは、サイコドラマが「再体験」ではなく「新しい体験の生成」を目指している点です。安全な枠組みの中で、支援的な他者役や資源的役割を導入し、これまでになかった応答や結末を体験することは、トラウマ治療における修正情動体験や意味の再編成に直結します。
このようなサイコドラマの理論と実践を、継続的かつ体験的に学ぶ場として、静岡県集団精神療法研究会では、毎週第4日曜日に対人援助職を対象としたサイコドラマセラピーの研究会を開催しています。
時間は、9:00~12:00。会場は、静岡市にある、静岡県教育会館 、または、もくせい会館。参加費は2,000円です。
初心者の方も大歓迎です。
サイコドラマを実際に体験してみたい方、将来的にディレクターを目指したい方、あるいは日々の臨床実践にサイコドラマの視点や技法を取り入れてみたい方まで、幅広くご参加いただけます。
サイコドラマは、トラウマを「理解する技法」にとどまらず、トラウマを扱うセラピスト自身の在り方を整える学びを提供します。身体・感情・関係性を統合的に扱うこの体験は、あらゆるトラウマ志向の心理療法を支える、深い臨床的基盤となるでしょう。
静岡県集団精神療法研究会 事務局:浜松市中央区三方原町614-1 みんなの心理相談室コンテ内 e-mail:shizuoka_groupdyna2010@yahoo.co.jp TEL:080-9113-2275