子どものぐずりに「つい折れてしまう」のはなぜ?
「ゆずれないこと」は泣かれても通さない。「緩めていいこと」は、泣く前に気持ちよく許す。この区別があるだけで、毎日の「どうしよう」がずいぶん減っていきます。
子どものぐずりに
「つい折れてしまう」のはなぜ?
泣き止ませたい気持ちと、ゆずれないルールのあいだで
欲しいものが手に入らなかったり、思い通りにいかなかったりして、子どもがぐずぐずと泣き続ける。毎日の子育てのなかで、よくある場面ですよね。
そんなとき、正直めんどうになって、本当は与えたくないものを与えたり、許すつもりのなかったことを許してしまったりすることはありませんか?
結論から言うと、それはとてもよくあることです。そして、そこには親子のあいだで起きやすい「ある仕組み」があります。
「泣く → 折れる」が繰り返される仕組み
行動理論で見ると、この場面では子どもと親の両方が「学習」していると考えられます。
手に入った」
(イライラが消えた)」
お互いにとって「うまくいった」体験になるので、次も同じ流れになりやすくなります。心理学者のパターソン(G. R. Patterson)は、こうした親子のパターンを「強制的相互作用(coercive cycle)」と呼びました。
さらに意外なのは、「いつも折れる」よりも「たまに折れる」ほうが、ぐずりは長引きやすいということです。「いつか通るかもしれない」と学ぶと、子どもはあきらめずに粘るようになります(間欠強化と呼ばれます)。
たとえば、こんな場面
最初は「今日はダメ」と言っていたのに、5分泣かれて周りの視線が気になり、結局買ってしまう。すると子どもは「5分泣けば買ってもらえる」と学びます。次は10分粘るかもしれません。
「ごはん中は見ないよ」と決めていたのに、ぐずりが止まらず、根負けしてスマホを渡す。食事は静かになりますが、「泣けば動画が見られる」というルールが子どもの中にできていきます。
折れてしまう自分を、責めなくていい
ただ、折れてしまうことを「親として弱いから」と責める必要はありません。
疲れているとき、時間がないとき、人目があるとき。親の余力が尽きたときに起こりやすいのは、ごく自然なことです。大切なのは完璧であることではなく、仕組みを知って、少しずつ工夫していくことです。
今日からできる4つの工夫
「いいよ」は泣く前に言う
泣いたあとで「やっぱりいいよ」と言うと、泣くことが強化されてしまいます。許してもいいことなら、泣く前に気持ちよく「いいよ」と言うほうが、ずっと影響が小さくて済みます。
事前に決めて、伝えておく
その場で判断するより、先に見通しを伝えておくと、親も子も迷いにくくなります。
「今日はお菓子は買わないよ。カゴに入れるのを手伝ってくれる?」気持ちは受けとめ、行動は通さない
「欲しい」という気持ちそのものは否定せず、共感しながら、ルールは変えないようにします。
「欲しかったね。買えなくて悔しいね。でも今日は買わないよ」「一時的に激しくなる」ことを知っておく
これまで通っていたぐずりが通らなくなると、子どもは一度、より激しく泣くことがあります(消去バースト)。これはうまくいっていないサインではなく、変化の途中です。知っておくだけで、親は持ちこたえやすくなります。
「ゆずれないこと」と「緩めていいこと」を分けておく
すべてを厳しく守ろうとすると、親のほうが疲れてしまいます。あらかじめ親の中で線を引いておくと、一貫性を保ちながら、無理なく続けられます。
ゆずれないこと
- 車道に飛び出す
- チャイルドシートを外す
- 人をたたく・物を投げる
状況次第で緩めていいこと
- お風呂の時間が少し遅れる
- 休日のおやつをもう一つ
- 好きな服を選ばせる
「ゆずれないこと」は泣かれても通さない。「緩めていいこと」は、泣く前に気持ちよく許す。この区別があるだけで、毎日の「どうしよう」がずいぶん減っていきます。
子育ての「困った」を一緒に考えます
ぐずりへの対応や、親子の関わり方で悩んだときは、
ひとりで抱え込まずにご相談ください。
お気軽にお問い合わせください