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静岡県集団精神療法研究会・定期研修会のご案内

対人援助の本質・・・研修参加のご案内(対人援助職の皆さまへ)

―「体験から、学ぶ。」臨床に“本当に使える力”を育てる学びの場―

本研究会は、対人援助職者を対象とし、対象関係論・精神分析理論を基盤とした集団精神療法を体験的に学ぶ専門家向けの学習会です。
講師に、静岡大学名誉教授 精神科医・医学博士の磯田雄二郎先生をお迎えして、Bion(ビオン)の理論――基底的想定集団、コンテイニング、α機能等を、実際のグループプロセスに忠実に適用し、丁寧な介入と振り返りを行います。

各回は

  • 文献の輪読と先生の解説
  • 90分間の体験グループ
  • 講師による詳細なレビュー・理論解説

体験を通して、「グループの場で何が起きているのか」「自らの内的体験」についてを言語化し、臨床実践へとつなげていきます。


このような方におすすめです

  • 対人援助職として、関係性理解や集団対応力を深めたい方
  • 集団療法・グループワーク・支援現場・教育・福祉・医療に携わる方
  • 対象関係論、ビオン理論を「体験的に」学びたい方
  • 自分自身の体験を通して洞察を深めたい

開催形式

  • 定例の参加人数:5~12名
  • 月1回開催(毎月第4日曜日
  • 時間は、13:00~17:00
  • 料金:2,000円-
  • 静岡市内にて実施(主に静岡県教育会館、もしくは、もくせい会館)

安全で支持的な枠組みのもと、守秘義務を徹底し、安心して体験に取り組める場を大切にしています。
初めての方にもご参加いただけます。


参加をご検討の皆さまへ

集団精神療法を学ぶことは、単に技法を知ることではなく、
「人と人がつながる場」を、自らの身体感覚と心で理解することです。
臨床家としての“器”を育てる深い学びを、ご一緒しませんか?

対人援助の仕事って、知識や技法だけではうまくいかないことが多いですよね。

クライアントさんが抱える不安、怒り、依存、絶望といった強い感情に、「どう向き合い、どう支えていくか」という関係のあり方そのものが、支援の質を大きく左右します。

多くの支援者が、こんな悩みを感じています。

  • 感情の強いクライアントさんに巻き込まれてしまう
  • 距離をうまく保てず、消耗感や無力感を抱えやすい
  • 「支援したい気持ち」が空回りして、関係が停滞する
  • 面接が理論や技法の運用だけになってしまい、”関係が動いてこない”感覚がある

こうした壁の背景には、自分自身の無意識的な対人パターンや、支援関係そのものに生じる力のやりとり(力動)への理解不足があります。

それを知識として学ぶだけでなく、実際に体験し、自分の内側で理解する場として設計されているのが、この対象関係論集団精神療法の研修です。


研修では、何が得られるの?

本研修では、参加者ご自身が集団の一員として関係を生き、揺れ動く感情や相互作用を観察・言語化していきます。

その中で、こんな力が育っていきます。

  • 自分の援助スタイルと逆転移の傾向への気づき
  • クライアントの対人パターンを”体感的”に理解する力
  • 感情を受け止めつつ、巻き込まれずに保つ臨床的な安定性

対象関係論集団精神療法って?

対象関係論集団精神療法は、精神分析の「対象関係論」をベースにした心理療法です。

「人の心は他者との関係の中で形成され、変容もまた関係の中で起こる」

そんな考え方が土台にあります。

私たちは、乳幼児期からの主な対人経験を心の中に取り込み、そのパターンを大人になってからも無意識に繰り返しています。

親密さへの恐れ、見捨てられ不安、過剰適応、怒りの抑圧、依存と回避の繰り返し――こうしたパターンは、その現れです。

集団という場では、そうした無意識の対人関係パターンが自然に再演されます。

対象関係論集団では、それらを「個人の問題」としてではなく、「集団の中で起きている心のプロセス」として扱うことが特徴です。


ビオンの理論で、集団の深い動きを理解する

本研修では、ウィルフレッド・ビオンという人の理論を使って、集団で何が起きているのかを深く見ていきます。

①基底的想定集団

ビオンは、集団には2つの層があると言いました。

  • 作業集団:理性的で課題に向かって進む集団
  • 基底的想定集団:無意識に支配されやすい集団

基礎仮定集団には、主に3つのタイプがあります。

  • 依存集団:誰かに「答えをください」「導いてください」と無意識に依存する状態
  • 闘争‐逃避集団:不安の源を敵視して、戦うか逃げようとする状態
  • ペアリング集団:救世主や理想的な関係の出現を夢見る状態

支援現場でも、こんな場面、ありませんか?

  • クライアントが支援者に過度に依存してくる
  • チームや家族が誰かを”悪者”にして対立を強める
  • 「この支援法さえあれば全部うまくいく」という期待が膨らむ

こうした動きは、基底的想定集団が日常的に現れている証拠です。

本研修では、自分自身が集団に巻き込まれる体験を通して、基底的想定集団がどう立ち上がり、人の認知や行動にどう影響するかを体感的に学びます。


② コンテイニング(抱える機能)

ビオンは、援助・治療関係の中核を、「感情を抱え、加工し、返す機能」=コンテイニングとして捉えました。

クライアントは、言葉にならない強烈な苦痛、不安、混乱を支援者に投げ込んできます。

支援者はそれをただ受け取るだけでなく、

  • 消化し
  • 気づきとして言語化し
  • 耐えられる形で返す

というプロセスを行います。

この「感情の受容と変換の場」を提供することが、治療的関係の土台なんです。

集団精神療法では、個人だけでなく集団全体が”入れ物(コンテイナー)”になる体験が起こります。

他者の感情を聴き、集団で抱え、分かち合い、意味づけしていく――

この体験そのものが、支援者としての感情処理能力と安定性を大きく育ててくれます。


③ α機能(感情を整理する力)

ビオンの示した「α機能」とは、

混沌とした感情体験を、考えられる体験へと変換する心の働き

のことです。

ただ「しんどい」
ただ「イライラする」
ただ「怖い」

こうした未整理な感覚は、α機能によって「意味がある心の経験」へと形を与えられ、整理されていきます。

集団内での「ふり返り・レビュー」こそが、まさにα機能を活性化するプロセスです。

自分の感情を言語化し、他者の体験を聴き、意味づけを重ねることで、

  • 感情に飲み込まれないメタ認知
  • 逆転移を”臨床情報”として扱う力

が育まれていきます。


支援実践への直接的な効果

この研修を通して得られる力は、そのまま現場の支援に活きてきます。

  • クライアントの感情を受け止めつつ、巻き込まれずに関係を保てる
  • 対人関係のパターンを、理論ではなく感覚として理解できる
  • 面接場面で、発言の背後にある力動を読む力が高まる
  • 自分自身の援助衝動や無力感を整理し、安定した関係を保てる

この研修の本質

対象関係論集団精神療法の研修は、

「援助技法を学ぶ場」ではなく、
「援助者としての自分を鍛える場」

です。

集団を通して、自分が「どのように他者と関わっているのか」を深く見つめ、
支援者としてのあり方を根っこから耕していく――

そんな体験的なトレーニングの場です。

ご興味のある方、ぜひお気軽にご参加ください。

みんなの心理相談室cont-e内、静岡県集団精神療法研究会 連絡先: info@cont-e.com

事務局:桐生大輔

株式会社コンテ
https://cont-e.com/


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