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子どもの「困った」は感覚のせい?遊びで育てる感覚統合

「うちの子、じっとしていられない」「服のタグをすごく嫌がる」「よく転ぶ」「字がうまく書けない」――こんなお悩み、ありませんか?

実はこれ、お子さんの「やる気」や「性格」の問題ではなく、脳の中で感覚情報をうまく整理できていないことが原因かもしれません。

今日は、遊びながら子どもの困りごとを改善できる「感覚統合」についてお話しします。


感覚統合って何?

私たちは毎日、たくさんの感覚を受け取って生活しています。

  • 触覚(さわる感じ)
  • 固有受容覚(筋肉や関節の動き)
  • 前庭覚(バランス感覚)
  • 視覚・聴覚・嗅覚・味覚

感覚統合とは、これらの感覚を脳の中で「まとめて整理し、適切な行動につなげる力」のことです。

たとえば――

  • 階段を降りるとき、バランスを取りながら足の位置を調整する
  • 鉛筆をちょうどいい力で握る
  • 友達が近づいてきたときに、ちょうどいい距離感を保つ
  • ざわざわした教室の中でも集中する

これらは全部、複数の感覚をうまく統合できているからこそできることなんです。


感覚統合がうまくいかないと、どんな困りごとが起きる?

感覚の受け取り方や処理の仕方には、一人ひとり違いがあります。うまく処理できないと、こんな様子が見られることがあります。

① 感覚に敏感すぎる(過敏)

  • 洋服のタグや靴下の縫い目が気になって仕方ない
  • ちょっとした音にびっくりする
  • 人混みや運動会ですぐ疲れてしまう

② 感覚に鈍感(鈍麻)

  • ぶつかっても気づかない
  • 動き回らないと落ち着かない
  • 強い刺激を求めてしまう

③ 感覚を求めすぎる(感覚探求)

  • ずっと回ったり、ジャンプしたりしている
  • 何でも触りたがる
  • 力加減がわからず、動作が粗い

④ 体の動きがぎこちない

  • ボール遊びが苦手
  • 姿勢を保つのが難しい
  • 字が乱れる、作業に時間がかかる
  • 偏食が多い

大切なのは、これらは「わざと」でも「性格」でもなく、脳の中での感覚処理の困難さが背景にあるということです。


感覚統合的にかかわるって何をするの?

感覚統合的にかかわるということは、単に「刺激を与える」ことではありません。遊びを通して、脳が感覚をうまく整理し、使えるようにする力を育てるアプローチです。

目指すゴール

  • 自分の体の位置や動きがわかりやすくなる
  • バランス力や姿勢が安定する
  • 注意や集中が続くようになる
  • 感情のコントロールがしやすくなる
  • 友達との距離感がつかみやすくなる
  • 読み書きや手先の作業が楽になる

おうちでできる!感覚統合を育てる遊び

ここからが本番です。実は、日常の遊びの中に感覚統合を育てるヒントがたくさんあります。

🌀 前庭覚(バランス)を育てる遊び

  • ブランコやハンモック
  • バランスボード、平均台
  • ゆっくり回転する遊び(回しすぎ注意!)

→ バランス感覚が育つと、姿勢が安定し、転びにくくなります。


💪 固有受容覚(筋肉・関節)を育てる遊び

  • 押す・引く・持ち上げる動作(綱引き、重いものを運ぶお手伝い)
  • クッションにダイブ
  • 大きなボールを転がす、投げる

→ 体の位置がわかりやすくなり、力加減が上手になります。落ち着きも生まれます。


🖐 触覚を育てる遊び

  • ボールプール
  • 感触遊び(お米、砂、小麦粉粘土、スライムなど)
  • タオルで包む、ぎゅっと抱きしめる

→ 触覚への過敏さが和らぎ、安心感が育ちます。


👀 視覚・眼球運動を育てる遊び

  • 的あて
  • ビーズ拾い
  • ボールを目で追う遊び

→ 目で物を追う力がつくと、読み書きもスムーズになります。


遊びを通して、こんな変化が期待できます

  • じっと座っていられる時間が伸びる
  • 鉛筆の持ち方や姿勢が安定する
  • 転びにくくなる
  • 食べ物の好き嫌いが減る
  • 音への過敏が和らぎ、イベントで疲れにくくなる
  • 友達との距離感が自然になる
  • 遊びや運動に参加しやすくなる

よくある誤解を解いておきましょう

「感覚統合=刺激を与える遊び」ではありません
脳が感覚を処理する力を育てるアプローチです

「動きが上手になること」が目的ではありません
行動・学習・感情・社会性の土台を整えることが目的です

診断名がないと関係ない
ADHDやASDの診断に関係なく、感覚統合の困難さは誰にでも起こりえます


パパ・ママに知っておいてほしいこと

子どもの行動は、**「感覚を通してどう世界を感じているか」**によって決まります。

  • 苦手な動きは「怠け」や「わざと」ではなく、脳の処理の不得手
  • 無理に「させる」より、**「できる環境を整える」**ことが大切
  • 小さな成功体験を積み重ねることで、行動も情緒も安定していきます

まとめ

お子さんの「困った行動」の背景には、感覚統合の困難さが隠れているかもしれません。

でも大丈夫。日々の遊びの中に、脳を育てるヒントはたくさんあります。

ブランコで揺れたり、クッションに飛び込んだり、粘土をこねたり――楽しみながら、お子さんの感覚統合を育ててあげてください。

「この子はこういう子だから」とあきらめず、「遊びながら一緒に育てていこう」という気持ちで向き合ってみてくださいね。

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