心もバランスが重要~心のクッションについて
つらい気持ちや不安、悲しみを少しでも軽くするために、こころが無意識に守ってくれています。
いわゆる、心の防衛手段、心的防衛、防衛機制、なんていわれています。
ここでは、「心のクッション」としましょう。
例えば、
- 「そんなことはなかったことにしよう」(嫌な出来事をなかったことにしてしまう)
- 「あの人が悪かったんだ」(自分が傷つかないように、誰かのせいにする)
- 「本当は寂しいけど、別に平気!」(強がることで、自分を守る)
このような防衛手段は時には役に立ちますが、いつもこの方法ばかり使っていると、本当の気持ちに気づけなくなったり、人間関係がうまくいかなくなったりすることもあります。
つまり、「心のクッション」とは、心にダメージを受けすぎないようにするための「心の盾」のようなものだと考えると分かりやすいでしょう。
心のクッションを使いすぎるとどうなる?
「心のクッション」を使いすぎると、次のような問題が起こりやすくなります。
1. 本当の気持ちがわからなくなる
心のクッションを使い続けると、自分の本当の気持ちを無意識に隠してしまい、「自分は何を感じているのか?」がわからなくなることがあります。
(例)
- 本当は悲しいのに「私は大丈夫」と思い込んでしまい、心の傷が癒えない。
- 本当は怒っているのに、「怒るのはよくない」と自分を抑え続け、ストレスが溜まる。
2. 人間関係がうまくいかない
心のクッションが強すぎると、素直に人と関われなくなり、人間関係が悪化することがあります。
(例)
- 「どうせ私なんて…」といつも思ってしまい、他人の優しさを受け取れない。
- 自分の失敗を認めたくなくて、他人のせいにしてしまい、人間関係がぎくしゃくする。
3. ストレスや不安がたまりやすくなる
心のクッションは一時的に気持ちを楽にしてくれますが、根本的な問題を解決するわけではありません。そのため、同じ問題が繰り返されたり、ストレスが溜まって心や体に影響が出たりすることもあります。
(例)
- 「大丈夫」と思い込んで無理をし続けた結果、心や体を壊してしまう。
- 嫌なことを忘れようとしてお酒やゲームに依存し、問題が大きくなる。
- 人間関係のトラブルを避けようとして、結局いつも同じような悩みに苦しむ。
適度な使い方が大事!
心のクッションは、決して悪いものではなく、上手に使うことが大切です。
- 「つらい時は一時的に気持ちを切り替えてもいいけれど、落ち着いたら本当の気持ちにも向き合う」
- 「心を守るために人を遠ざけすぎず、信頼できる人には気持ちを伝えてみる」
こうしたバランスが取れると、防衛手段が「自分を苦しめるもの」ではなく、「自分を助けるもの」になります。
カウンセリングやトークセラピーがお役に立ちます。
それでも、ストレスが続いたり、大きな出来事が起こったりすると、このクッションのバランスが崩れたり、気持ちが不安定になったり、考えがまとまらなくなったりします。 それによって、「すごく落ちこむ」「怒りっぽくなる」「不安…」といった状態になりやすくなります。
カウンセリングやトークセラピーでは、自らについてじっくり話すことで、自分のことをより知ることができます。そして、心のクッションの使い方と自分との関係が見えてきて、この防衛のバランスを整えるための気づきにつながります。 カウンセラーは、安心できる環境でじっくり聞きながら、気持ちや考えを整理しやすくするためのお手伝いをします。そして、より深い 「本当はこう思っていたんだ」といった自分でも気づかなかった気持ち、考え、新しい価値観などへの気づきを得たりすることができます。
また、カウンセラーが一緒に考えることで、どうすれば心が楽になるか、どんな工夫ができることが見つけやすくなります。こうして、心のクッションを修復し、バランスを整え、また安定した気持ちを取り戻すサポートをするのが、カウンセリングやトークセラピーです。