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傷つけない、を土台に。トラウマインフォームドケアという私たちの姿勢

トラウマインフォームドケアとは、相談に来られる方の傷つき体験を前提に、二次的な傷つきを防ぎながら関わる姿勢のことです。当相談室での具体的な取り組みを、個人セラピーとサイコドラマの場面に分けてご紹介します。

みんなの心理相談室 cont-e コラム

傷つけない、を土台に。
当相談室が大切にしている「トラウマインフォームドケア」のお話

浜松市・三方原町のみんなの心理相談室 cont-eでは、すべての面接において「トラウマインフォームドケア」という考え方を土台にしています。専門用語ですが、内容はとてもシンプルです。今回は具体例を交えながら、その中身をご紹介します。

「トラウマインフォームドケア」とは何か

トラウマインフォームドケアとは、一言でいうと「その人がこれまでどんな傷つき体験をしてきたかもしれないという前提に立ち、二次的な傷つき(再トラウマ化)を防ぎながら関わる」という姿勢のことです。

これは「トラウマを治療する特別な技法」ではなく、むしろ逆です。どんなご相談内容であっても、面接の進め方そのものが安心・安全になるように配慮する、いわば「土台」の部分を指します。

たとえば、過去につらい経験を話した際に「もっと詳しく話してください」と急かされたり、逆に急に沈黙されて戸惑ったり——そうした些細なやり取りの積み重ねが、結果として相談すること自体への不信感につながってしまうことがあります。トラウマインフォームドケアは、そうした「意図しない傷つき」を防ぐための視点です。

当相談室が大切にしている4つの視点

1. 気づく

トラウマの影響を理解する

「困った行動」「話しにくさ」の背景に、傷つき体験の影響があるかもしれないという視点を常に持ちます。

具体例: 面接中に急に視線をそらしたり黙り込んだりする方に対し、「集中していない」ではなく「今、何か圧が強すぎたのかもしれない」と受け止め、ペースを緩めます。
2. 見きわめる

サインを見逃さない

表情、声のトーン、呼吸の変化など、言葉にならないサインに注意を払います。

具体例: 心理劇(サイコドラマ)のロールプレイ中に呼吸が浅くなった参加者がいれば、その場で一度動きを止め、「今の体の感覚」を一緒に確認してから続けるかどうかを選んでいただきます。
3. 適切に応じる

選択肢と主導権をお返しする

「話す」「話さない」「ここまでにする」を、常にご本人が選べる形で面接を進めます。

具体例: 「そのことについて、今日話してみますか?それとも別の機会にしますか?」と選択肢を提示し、沈黙も一つの答えとして尊重します。
4. 再び傷つけない

再トラウマ化を防ぐ

面接室そのものが安全基地であり続けるよう、無理な直面化や詮索を避けます。

具体例: 過去の出来事の詳細を根掘り葉掘り聞くのではなく、「今、その記憶を思い出してどう感じているか」という現在の体験に焦点を当てます。

個人セラピー(体験的療法)における具体的な配慮

グループでの心理劇だけでなく、お一人おひとりと向き合う個人セラピーの場面でも、体験的な手法(エンプティチェア、身体感覚へのフォーカシング、イメージワークなど)を用いることがあります。こうした「頭で考える」だけでなく「感じる・体験する」アプローチは変化を生みやすい一方、急ぎすぎると心が圧倒されてしまう危険性もあるため、以下のような配慮を重ねています。

  • 身体感覚を常にモニタリングする——話の内容だけでなく、呼吸・姿勢・声の震えなど体のサインを面接者が観察し、圧倒される前に速度を調整します。
  • タイトレーション(少量ずつの体験)を心がける——つらい記憶やイメージに一気に踏み込まず、「今、少しだけその場面に近づいてみましょうか」と、耐えられる範囲で少しずつ扱います。
  • リソース(安心できる拠り所)を先に確保する——本題に入る前に、安心できる場所のイメージや支えてくれる存在など、心の拠り所を一緒に見つけておきます。
  • 二重意識(今ここ、と、その体験)を保つ——つらい場面を扱いながらも、「今、この部屋にいる自分」という感覚を失わないよう、随時声をかけて現実とのつながりを保ちます。

個人セラピーでの一場面(例)

エンプティチェア(空の椅子)を使い、言えなかった気持ちを言葉にしていただく場面で、話しながら涙ぐみ、声が小さくなっていく方がいました。そこで面接者は一旦椅子から離れていただき、「今、足の裏が床についている感覚を確かめてみましょう」と身体への意識を促しました。呼吸が落ち着いたのを確認してから、「続けますか、それとも今日はここまでにしますか」とご本人に選んでいただきました。

サイコドラマ(心理劇)における具体的な配慮

当相談室では、心理劇的技法(ロールリバーサル、ダブリング、ミラーリングなど)を用いることがありますが、これらは体験的で力強い分、扱い方を誤ると心の傷を再び刺激してしまう可能性もある手法です。だからこそ、以下のような段階的な配慮を徹底しています。

  • ウォームアップを十分に行う——いきなり核心的な場面には入らず、心と体が「今ここ」に安心して戻れるよう、段階を踏みます。
  • 補助自我(オグジュアリー・エゴ)が同行する——一人で難しい場面に向き合わせず、支える役割の人が常にそばにいます。
  • 「今日はここまで」と決める権利は常にご本人にある——途中で止めることは失敗ではなく、適切な自己防衛として肯定します。
  • シェアリング(分かち合い)の時間を必ず設ける——役割から現実の自分に戻るプロセスを丁寧に行い、感情を抱えたまま終わらせません。

よくあるご質問

Q. 過去のつらい体験を詳しく話さないといけませんか?
いいえ。当相談室では、詳細を語ることよりも「今の生きづらさが軽くなること」を目的としています。話す・話さないはいつでもご本人が決められます。

Q. サイコドラマは大勢の前でやらされるイメージがあって不安です。
役をやること自体を強制することはありません。見ているだけの参加(観客・観察者としての役割)も、立派な参加の形として尊重しています。

最後に

トラウマインフォームドケアは、特別な人だけのためのものではありません。誰の中にも、大なり小なり傷ついた経験があるという前提に立つことで、すべての方にとってより安全な相談の場をつくることができると考えています。

浜松市・三方原町のみんなの心理相談室 cont-eでは、臨床心理士・公認心理師・サイコドラマディレクター(TPA)の資格を持つカウンセラーが、こうした視点を大切にしながら面接を行っています。

ご相談は、あなたのペースで大丈夫です。

みんなの心理相談室 cont-e(浜松市・三方原町)

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