「もしかして私も…?」関係性トラウマとは——日常の中で見過ごされがちな心の傷
あなたは、こんな感覚を持ったことがありませんか?
- 人と距離が近くなると、なんだか息苦しくなる
- 頼ったり甘えたりすることに、強い抵抗を感じる
- 「迷惑かけちゃいけない」と思って、本音が言えない
- 自分でも理由のわからないイライラや不安がある
これらは「関係性トラウマ(relational trauma)」と呼ばれる心の傷が背景にあることがあります。
関係性トラウマってなに?
関係性トラウマとは、「人との関係」の中で起きた繰り返しの小さな傷つきや、長期的な心の負担のことを指します。たとえば…
- 幼いころ、親から十分な愛情を感じられなかった
- 家族が不安定で、いつも顔色をうかがっていた
- 学校でのいじめや、無視などの対人関係のストレス
- 恋人や配偶者からのモラハラや無視
こうした体験は、「安全な人間関係」への信頼感を育てる妨げになります。
トラウマというと「虐待」や「事故」「災害」といった強い出来事を思い浮かべるかもしれませんが、関係性トラウマはもっとじわじわと、見えにくいかたちで心に残る傷です。
具体的な例:がんばり屋の美咲さん(仮名)の場合
30代の美咲さんは、職場でも評価が高く、責任感のある仕事を任されています。
一見「しっかり者」ですが、カウンセリングに来られたとき、こんなことを話してくれました。
「頼るのがすごく苦手なんです。仕事で困っても、人に相談するくらいなら夜中まで一人でやっちゃう。小さいころから“自分のことは自分で”って育てられたからかもしれません。」
よく話を聞いていくと、美咲さんは子どものころ、母親がいつも忙しくて甘えることができず、「迷惑をかけてはいけない」と自分に言い聞かせて育ってきたことがわかりました。
それはアタッチメントの形成に影響を与え、人と心からつながる感覚を育ちにくくしてしまったのです。
社会生活はできる。でも「何かしんどい」
関係性トラウマを抱えている人は、社会生活をしっかりこなしていることも多いです。
仕事もできるし、家庭もある。周囲からは「問題なさそう」と見えるかもしれません。
でも、「人といても安心できない」「自分だけががんばっている気がする」という感覚が、心の中にずっとあります。
これは、「適応しているけれど、満たされていない」状態。
そして何より、「自分でも理由がわからない」ことが、このしんどさを一層深くしてしまいます。
カウンセリングで得られること
関係性トラウマは、ひとりで抱えてがんばり続けている方の心に、静かに根を張っていることがあります。
カウンセリングでは、安心・安全な関係性の中で、少しずつ「自分の気持ちを大切にしてもいい」「人に頼ってもいい」と感じられる体験を重ねていきます。
それは「過去を忘れる」というよりも、過去に縛られすぎずに、今の自分の選択を尊重できるようになるプロセスです。
あなたの中にある「しんどいけれど、うまく言葉にできない気持ち」。
それを一緒に見つけ、整理していく時間が、きっとあります。
ほんの少しの勇気で、一歩を踏み出すお手伝いをさせてください。
いつでも、あなたをお待ちしています。
カウンセリングについてのご質問は、お気軽にお問い合わせください。