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子どもの発達と日常生活動作。

まだまだ恐ろしい暑さが続いておりますが、2学期がもうまじかとなってきました。「朝は戦争!」という保護者様も多いのではないでしょうか。

やっとの思いで布団から出し、着替え、ごはん、歯をみがき、忘れ物のチェック、ハンカチとティッシュを準備して。やっと学校に送り出したら、「絵の具忘れた!」と、戻って来る・・・。

お母様たちからは、「何回言っても、できない!」という言葉がこぼれます。それでも、動かないわが子に対して、「あれやったの!?」「次はこれやって!」と、次々に指示を出さなくてはならない毎日。

この大人が言葉で指示を出し子どもに実行させる、というタイプの支援は最もスタンダードです。なぜかというと、指示を出す側としてはこのやり方が一番楽なやり方です。「だって、親だって忙しんですもん!」その通りです。

しかし、指示を受け取る子ども側としては、(ただでさえ学校に行きたくない状況の中…)保護者からの熱い感情のこもった言葉という“見えない情報”が届き、頭でイメージして、何をどうしようか?と計画を立てる…こうした一連の流れを認知や思考を駆使しなくてはいけないわけです。こうした情報の整理が苦手な子には、こうした状況に対応するために高い負荷がかかっていることも多いです。

また、3つの指示が同時に出たりすると、2つは聞き漏らしていたり、「とりあえず耳に届いた情報だけでもやっておこう、どうせ怒られるんだし」と、いったことにもなりかねません。

“やるべきことが身についていない” と、いうことは、指示は頭やイメージでは何となくわかる。だけど、脳がそれを行動や運動に変換する神経ネットワークが不完全という可能性も出てきます。もちろん、意欲がないということもありますが。

私も時間がないので、子どもには極力自分の力でやってほしい。しかし、「何度言ってもできない」の背景には、子どもたちに必要な対応は、「指示(さしずすること)」を出されることではなく、「指導(ある目的に向かって教え導くこと)」されることなのかもしれません。「とてもそんな時間はない!」という思いはごもっともです。しかし、朝の支度が習慣として定着するのは個人差があり、教え導く必要がある子がいるのも事実です。

それじゃ、どうしたらいいの?

よく用いられるのは、次のような表を活用する方法です。

人間は、視覚的な情報を処理する力が優位に働く生き物です。なので、この視覚情報を有効に活用したいものです。

あさのおしたく!
  ① ごはんをたべる
  ②きがえ
  ③歯みがきをする、
  ④ハンカチ、ティッシュ
  ⑤もちものかくにん
図 表を使って朝の支度!

こうして表にあげると、短時間にたくさんの活動をこなさなくてはいけないことがわかります。そして、朝やるべきこと、その順番がひと目でわかるように表にして貼ります。子どもさんと一緒に表を作成すれば、自分のこととして子どもさんのモチベーションが高まるかもしれません。低学年であれば、「自分のことを自分でできる格好いいあなたになるキャンペーン」なんて意味づけしてもいいかもしれません。残念ながら、表を作ったできるようになるというものではなく、一つひとつ表に従って行動を作り上げることが必要になります。そのために、大人がモデルを見せて、一緒にやってみて、コツや助言を伝えてやらせてみる。うまくいった褒める、いかなさそうであれば手助けをする。最後にできたら褒める。こうした過程を経ることが望まれます。

これって大変なんですけど、自信や自尊心を育むには、幼少期からのこうした身辺自立動作の習得が一番大きな効果を示すと私は思っています。「自分のことを自分でできるようになる」ことで、かつては上手くできなかった自分。しかし、今は出来るようになった自分。期待されてできるようになり、褒められた自分。そうした経験を通じて、等身大の自分を認識できるようになるのだと思います。大人に支えられこうしたことができるようになると、状況把握力、判断力、そして、問題解決能力が育っていきますし、目標を立て計画的に活動していく実行(遂行)機能も高まり、時間や空間の概念も発達します。さらに、こうした家庭での力を社会で活用すれば、社会適応能力も高まりますし、そういう子には友達にも好かれて頼られますから、対人関係スキルも高まる。発達の好循環スパイラルです。

保護者にとってはストレスを伴う「片付け」や「朝の支度」といった日常生活の活動ですが、視点を変えると、上記のような力を育むための大変有意義な時間となります。それは、家族で楽しいことをしたり、外食したりするのと同じくらい子どもの成長や情緒安定につながる時間であると思います。

子どもさんそれぞれに、生まれ持った得意や苦手があります。発達障害や発達の偏りがあればなおさらです。それぞれの発達や成長を支えるために、その子にあったかかわり方や支援方法を組み立て、実践していくことはどの子にとっても必要なことです。

でも、子育てはやっぱり難しくて、大変な面もあります。その大変さを母親が一人で抱えるのではなく、家族と協力して、お互いの役割を設定しながら子どもの成長を支えていきたいものです。みんなの心理相談室cont-eでは、皆様の子育てについて、お子さんの発達についての悩みに、相談をお受けいたします。お気軽にご相談ください。

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